先日久々に「ベスト・キッド」を見ました。
ダニエルさんの年齢に近かったのに、いつの間にかミヤギさんの年齢に近くなってしまいました。そして空手を経験して改めて見ると、ちょっと当時とは見方が違ったりもしますね。
1.ミヤギさんの指導能力
今更ではありますが、全くの素人であるダニエルさんを数ヶ月の訓練で優勝させてしまう実力は非常に高い指導能力を持つのでしょう!
人としては、控えめな日系人という感じのミヤギさんですが言わずとしれた空手の達人。でもダニエルさん以外に指導をした経験はないそうです。
つまり一番弟子がダニエルさんだったという事になります。
それなのに彼は焦ることなく、ダニエルさんに空手を伝授していきます。
ミヤギさんは道場を構えている訳ではないので、他に生徒はおらず唯一の弟子がダニエルさんという事ですね。
ダニエルさんに空手を教えて数カ月後には空手大会で優勝してしまっているので、ミヤギさんの指導力が高い&ダニエルさんのセンスが高かったということなのでしょう。
2.空手の指導方法
ミヤギさんの指導は普通の指導とはちょっと異なっています。普通ならば立ち方や突きの基本、蹴りの基本、形や試合形式の練習などやりますが、ミヤギさんとダニエルさんのやった事といえば、
・車のワックスを塗った(掛け受け?)
・家のペンキを塗った(抑え受け?上げ受け?)
・木製の床を磨いた(下段払い?)
・船の上で受けの練習(バランス?)
的な練習をしていました。所謂我々が想像するような空手の練習とは異なりますね。日常の動作を体になじませるというやり方。
何事もバランスが大事であると言う言葉に説得力があります。
後は波に向かって何やらやっていたり、木の上でジャンプキックを練習していたりしました。このあたりはなんの修行かは謎です。
ロッキーで言うところの走り込み、打ち込み的な描写が殆どありません。
更に基本は防御しか教えないミヤギさんに対し、焦りを感じたダニエルさんが「攻撃も教えてよ!」と思わず言うも、防御が大事だと繰り返すミヤギさん。
個人的には防御を教えずに、攻撃ばかり教えるのは、間違いだと思っています。
防御を習わずにスパーリングをしても、なんの成長もなかった私が言うのですから間違いありません!
攻撃は楽しいし、やってる感も強いですし、みんな攻撃に目が行きがちですが、実は重要なのは相手との距離や防御の動作なのでミヤギさんの指導方法は正しいと思います。
しかしながらいくらミヤギさんが空手の達人とはいえ、ダニエルさんがたったの数ヶ月で空手大会で優勝するというのは、相当に難しいことだったと言えますね。
もともと素質があったのでしょう。
彼はどうやらイタリア系移民だったらしく、彼のお母さんも割とイタリアっぽい感じがしました。
3.個性的なキャラクター
個性的なキャラクターについて触れていきたいと思います。
3−1.空手の達人ミヤギさん
とてもそうは見えない空手の達人!
実に謎が多いです。戦争経験者で奥さんと子供さんを亡くしています、、。沖縄生まれでミヤギ家では、漁と空手を習うそうです。マンションの管理人をやっていながら車を何台も持っていたり、挙げ句車をプレゼントするという大盤振る舞い。
基本的に争いを好まない好々爺を演じています。なんだかんだと一人ボッチの孤独な老人が、ダニエルさんに空手を教える事で喜びを感じていたように思います。
3−2.意外といいヤツ!?ジョニーと仲間たち
今見てみると、ヤンキーのクソ野郎と思っていたジョニーとその仲間たちですが、実態はどうだったのでしょうか?
「先に打て、強く打て、情け無用」のコブラ会所属で、ジョニーは筆頭格の実力者のようです。所謂ヤンキーで、クズ野郎かと思いきや。
ダニエルさんたちに絡んだのは、元カノのヒロインとヨリを戻したいため、喧嘩になったダニエルに一撃食らうまでは、本気で殴ったりはしていなかったり。
ハロウィンのときに殴られたのは、マリファナ吸おうとしていたジョニーにいきなり水をブチかけたからだったり。
ジョニーが切れてダニエルに殴りかかろうとするたびに、止めようとする仲間だったり。よーく見てみると、ダニエルさんにも殴られるだけの結構な原因があったりもしますね。これの30年後の物語の「コブラ会」で主演するというから人生わからないものですね。
ちなみにこの試合に負けた後、ジョニーは転落人生を歩むことになるそうです。ミヤギさん曰く、悪いのは指導者だと言っていて、ジョニーが悪いとは言っていませんでしたね。最終的にダニエルを讃えているので、結構良いやつじゃないかと思うのです。
3−3.ヒロイン!アリー
ヒロインのアリーは、カワイイ女の子です。
ダニエルさんと仲良くする姿を見て友達は、なんで?と不思議がります。
お金持ちのお嬢さんで、、、というベタな設定なのですが、確かにこの物語のヒロインだということは間違いありません。
まぁ、こういう青春とは無縁だったので特に感じることはなにもないです。
ただ今見ると、女子高生とは思えないほどの貫禄が、、、。さすがはアメリカということでしょうか、、。
4.ちょっと納得行かないポイント
物語には個人的にちょっと納得行かないポイントも多少出てきます。
4−1.空手衣の話
ミヤギさんの奥さんが作ってくれたという空手衣についてです。まずミヤギさん用の空手衣なはずですが、ダニエルさんにピッタリなのは納得がいかないです。
若い頃の体型は痩せていたにしても、身長差は!?というのと、背中にどでかい富士山と松の絵が!?空手衣にそんなド派手な絵を入れるのは日本人ではあまりありえない発想だと思いませんか?日本人なら白い空手衣を作るはずです。
4−2.いきなり黒帯&ハチマキ
ダニエルさんの帯はいきなり黒帯です。
始めて数ヶ月で黒帯を巻くのはちょっと違和感ありです。当時は気になりませんでしたが、今は気になります。後ハチマキですね。そんなの付けて大会出たら、最初に「それ取れ!」と言われる気がします。
4−3.ミヤギさんの回復技
ダニエルさんが筋肉痛で腕が上がらん!みたいなときに、ミヤギさんが手をすり合わせてダニエルさんの腕だか方に当てるとなんと痛みが消えた!?というまるで整体士のようなシーンがあります。
何だそれ!?気!?気でなおしたのか!?と突っ込みたくなります。
空手の達人だからといって、何でもできるわけじゃないぞ!と思わず言いたくなりますね。なんとなく柔道とかで肩関節ハズレた人のを入れる先生のイメージですね。最後の試合で足を痛めたときも同様。
4−4.ダニエルさんの試合で勝ち続ける事は無理!
空手の大会が始まると、最初の試合こそ面食らうものの、あっという間に勝ち進みます。組手のシーンを見ると、ダニエルさんの構えは、明らかに待ちの構えです。
そしてほぼその通りで、相手にカウンターを入れて倒していくことになります。
正直ぎこちのない構え、明らかに強そうな相手。にもかかわらず勝ち続けるという事は、まさによほど身体能力が高いとかじゃないと無理だと思います。基本相手の攻撃をさばいてからの反撃でポイントを取っていってますが、そのスタイルであれば本来相当な経験と技のレパートリーが無いと勝ち抜けないように思います。
4−5.最後の大技!鶴の舞!で勝てる!?
どうしても納得行かない点。というかこれは30年前に初めてみたときから思っていたことですが、、、。
片足で立ってるダニエルさんが、最後は右足のケリで勝負をつけます!
いや、ジョニーなんで突っ込んだ!?としか言いようがありません。ダニエルさんが足を痛めて、この構えやられたら当然警戒するわけです。そしてこの構えからは蹴り技が来るだろうという予測が立てやすいものです。
恐らく格闘技の経験者ならば、少なくとも不用意に突っ込むことはないと思います。
にもかかわらず、これにやられるというのは、どうにも納得行かなかったですね。敢えて向かって行ったのでしょうか?
5.終わりに
何十年ぶりかというレベルで久々に見てみると結構面白かったです。
ミヤギさんもいい味を出してますし、ダニエルさんもガキだなぁと思っていましたが、今見ると割と一生懸命やろうとしていたんだなぁと思うわけですね。
何かと誤解をされがちな日本の描写については、??と思うことは多々ありますが、作品を通して受け入れられないレベルというのは、まあ、無かったかなと思います。
当時私がこの映画を初めて少年時代とは環境も考え方も全然違いますが、今見るとそれはそれでまたちょっと楽しかったりします。
意外と楽しめますし、結構いい映画だったのだなと改めて思いました。
皆さんも久々に見直してみてはいかがでしょうか?
ではまた!サヨナラ!サヨナラ!サヨナラ!
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