試合は準決勝に進みます。とはいえ、私は2試合目ですが、、、。
1回勝っただけでベスト4とはこれまでにない勝機です。いつも一回戦負けの私にとってこれは大チャンスと言えるでしょう。
そして今まで踏み入れた事のない未知の領域に達する訳です。
相手は準決勝まで勝ち上がってくるだけあって、なかなか強そうです。前の試合を見ている限り、際立って得意技がある訳ではありませんが、総合的に強そうです。
希に裏廻し蹴りも出してくるので、これは要注意です。
※私は普段の練習でも組手の経験が少ないため、キックボクシングではまずお目にかからない。「裏回し上段蹴り」をされると混乱します。
構えた時に相手が強い、弱いというのが何となくわかってしまうのは、ドラゴンボールのスカウターがいらない状態に近いのかもしれませんね。笑
でも別に「気」を感じられるわけではないので、相手の強さの正確な所は不明です。
達人になると構えた瞬間に勝った・負けたとなれるのかもしれません!?
今回もまた先手必勝です。
私は今回の大会で自分の速攻攻撃(単なるワンツーですが)が意外と効果的に決まる事に気がつきました。もちろん反則しなければですが、、。
最初の攻撃は決まりました!有効の1ポイントを取ったのと、最近の試合では有利な条件である「先取」が取れました。
※先取とは最初のポイントを取った方に、もらえるアドバンテージで、同点だった場合に先取を取った方が勝利となります。
これは幸先の良い出だしです。
だが油断は禁物でこれであっさり勝てる程の簡単な相手ではなさそうです。
ですが、前の試合からも決まり続けているワンツーは、かなりの確率で決まっております。これは使わない手はないでしょう!
という事で、次もまたワンツー攻撃を仕掛けます!
これが不思議です。全く同じタイミング、距離、力加減で同じワンツーを打ったにも関わらず、今度は反則となりました。自分としては完璧に打ち切った感があり、よし!ポイントとったぞ!と思ったのですが、どうやら強すぎたようです。
しかし迷う訳にはいきません。ここで迷えば攻撃に勢いとキレを失い、試合の流れを失いかねません。
やはり責めの姿勢を崩すわけには行きません。元々器用に捌いてカウンターを入れられるほどの実力はありません。基本の攻撃を繰り返すまでです。
と、言っている間に、相手の逆襲を受けます。一瞬の不意を突かれて相手の上段突きがあっさりと決められてしまいます。ポイントはイーブンになりました。
ここから先は攻めては、攻められの繰り返しですが互いに決定打を欠きます。
私の攻撃は毎回反則を取られ、相手の攻撃はギリギリでポイントとはならず、試合は膠着状態に陥ります。
よく考えてみると、相手がやたら強い事に気がつきます。こちらはいつもと同じ感じで攻めて守ってとやっている訳ですが、私の攻撃が反則になるのは相手の守備力が高いので強引になっている状況であったと推測されます。
また相手の攻撃はポイントとされてもおかしくない程のキレと強度がありました。
ポイントを取られなかったのはラッキーに近いのです。
膠着状態を打開すべく私は一計を案じます。
伝統派空手ではよく見かけます「足払い」です。実は私は結構この足払いを練習した訳ではありませんが、結構掛けると体制を崩せる経験があります。
多少強引ではありますが、この相手であれば「ある程度の戦略」で戦わなければ勝てないと判断しました。
ワンツーを打ち込みつつ近づき、足払いを仕掛けます。
相手は一瞬体勢を崩します。足払いは軽く当てるだけでも相手のタイミングによっては、ぐらつかせる事が可能です。今回はまんまと作戦がハマったようです。
ですが、相手も中々のもので決定的な隙を作る訳ではありません。
やや体勢を崩しつつも、防御体制は崩しません。
私は攻撃を諦めそのまま相手を倒す方針に切り替えます。というか流れ的には距離が近すぎてしまった為に、この方法が一番効果が出ると考えました。咄嗟の判断です。
至近距離から足払いを再度掛けつつ、相手の胸元を押し込みます。あくまでの足払いの補助動作ですから、強く押している訳ではありません。
相手は体勢を崩し尻餅を付きます。
私はそれを見計らいながら、一気に詰め寄り上から突きを打ち下ろし勝利を確信した残心をとります。
その時審判の「ヤメ!」がかかりました。
私はこの攻撃で「一本(3ポイント)」を確信しつつ、開始線の位置まで悠々と戻っていくのです。
審判は私に向かって高らかに宣言しました。
どうやら相手を掴んだという「C2」カテゴリー2の反則であると、、。
そして同時に私の先制ポイントである「先取」の取り消しも宣言されます。
ちなみに私、恥ずかしながらこの時まで先取が取り消される事を知りませんでした。
同時に「反則注意」要するにあと1回の反則で失格である事を告げられます。
残り時間からも勝利を確信した投げ技から一転。
絶体絶命のピンチに追い込まれたのです。
ここからお互いに決まらない技を打ち続けます。私は反則攻撃が怖く(3回に1回は強すぎの判定)ここから先は、蹴り技を多用します。
ところが蹴り技は全然決まりません。上段蹴りはそもそも上手くないので、中段蹴りを多用します。蹴り技は体力を著しく削り取ります。
時間も体力も使い果たして、勝負は判定へ持ち込まれました。
旗を確認する余裕がない程に疲労してしまいました。判定は赤の旗(私)が多く上がったようです。審判から勝利を告げられます。
恐らく1試合私よりも少ないはずの相手にここまで苦しめられるとは思いませんでした、私がもう一試合行って体力を削られていたら、勝敗は逆だったと思わざるを得ません。
世の中、まだまだ強い人はいる者だと痛感する結果となりました。
ちなみに私は試合後、この方に試合中の反則の数々を侘びに行きましたが、笑って「楽しかったですね。またやりましょう!」と言って貰えました。
空手家とはこう在りたいものだと思いました。
さて、いよいよ決勝です。
決勝の相手は、なんと以前戦ったことのある相手でした。
お互いどこまで成長したのか確認するには最高の舞台と言えるでしょう!
続く
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