武道・格闘技をやっていて、たまに面白い話や良い話を聞けたりします。
また武道や格闘技をやっていたからこそ起こり得る体験なんてのも世の中にはあるのです。
空手や格闘技に関する私が過去に聞いたり・経験・体験した
「ちょっといい話」
を書いてみたいと思います。
1.空手道着の裾を詰めるには?
何年か前の話。
空手の道場初段を許されたので、空手道着を新調する事にしました。
値段は1万数千円。
私個人の当然お小遣いから払います。
まさか大人になって「お小遣い」とは思ってもおりませんでしたが、、、。

注文してから、しばらくして道着が届きました。
空手業界ではかなり有名な
「守礼堂」
の組手用の道着です。

手作りというか受注生産らしく、頼んだ翌日発送とかではありません。
本来ならばお店に行き、採寸してもらって作ってもらうと完璧なのですが、私の家からは遠いので、諦めました。
早速着てみるとちょっと手足の丈が長い。
着れないレベルではないけど、ちょっと気になる。
洋服にあまり興味のない私は、初めて衣類で真剣に悩みました。
詰めるべきか、このままいくべきか、、、。

そして決めました。
やはり納得した形で着たいので、詰めようと!!
本来であれば、守礼堂に送って無料で直してもらえます。
ですが、恐らく時間が掛かると思ったのです。
※どうやらそこまでは掛からないらしいですが、、。
なので、近所の仕立て屋さんで直そうと思いました。
大規模スーパーの持ち込み可能な仕立て屋さん。
持ち込んでみると「今持ち込みは受けてません」との事。
近所の持ち込み可能な仕立て屋さん。
(料金ちょっと高め)
「道着は受けられません」との事。

どうやら空手衣を仕立て直すのはちょっと厄介だと気が付きます。
でも、直ぐにでも着たい私は意地になって直してくれそうなお店を探します。
ネットで見つけたました。
「ワークマンは持ち込みOKで早いし安い!!」
私は早速ワークマンに駆け込んだのです。
2.ワークマンというお店
皆さんはワークマンをご存知でしょうか?
作業服とか現場仕事の衣類とかを主に売ってます。
働く男のお店です!!
が!?今やもうそんな事は無い事はご存知でしょうか?
機能重視で価格が安く、更におしゃれ度が加わり、女性にも人気なお店になったのです。
ニュースとかで耳にした事ありませんか?
防寒やアウトドア好きの女性にも愛用されているそうです。

さて、店内に入ると店員さんは2人。
客は4,5名ほどです。
確かに女性のお客さんもいました。
と言って、ガテン系の兄さんやらが大挙しているかと思えばそうでもないようです。
ただお客さんがひっきりなしに入ってきては出ていく感じで、なかなかお店に人に話をできません。
おばさんの店員さんを捕まえたのは、入店してから20分ほど経った頃でしょうか。
私「持ち込みで裾直しできますか?」
店員さん「大丈夫ですよー。持ってきてください。」
私「はいこれです。」
店員さん「!!?ああ、、ちょっとこれは、、。」
そうして店の控室に入ってしまった。
少しして今度はオジサンの店員さんが代わりに出てきた。
どうやら店員は2名のみ。
この人が店長らしい。
3.ワークマンの店長
店長は普通のオジサンだった。
ちょっとRPGのギルドのイメージで、ごっついオジサンを想像してたのですが、ちょっと意外でした。

こんな感じの人がいるのかと、、、。
まぁ、それは冗談として、店長さんはが言います。
店長「申し訳ないけど、これは難しいです」
理由を説明してくれました。
・生地が頑丈なので、縫い付けるには、それなりのミシンが必要
・今縫われいている糸を外すことができない。
・下手すると道着を切ってしまう
・プロに任せた方が良い
・頑丈にするため3か所縫われており、時間が掛かりすぎる
等などいろいろです。

特にこの腕の部分は、3か所縫われており、この糸を外すことがかなり大変らしい。

ちなみにズボンの部分は1か所だけなので、ズボンだけなら何とかなるかも。との事でした。
どうせなら納得いく形にしたかったので、諦めて帰る事にしました
4.武道の心得
帰りかけた時、店長が言いました。
店長「うーん、時間かかるし、上手くいくかわからないけど、やってみる??」
店長さんは、しょうがないなぁという感じで私に言った。
丁度お店にはお客さんがおらず、おばさん店員もあきれ顔で半笑いだった。

私は申し訳ないながら、お願いした。
でも、ここからが大変だった。
まず糸をほぐす作業が恐ろしく時間が掛かった。
最初のズボンはまだマシだったが、それでも10分くらいかかった。
上着の袖はさらに最悪で、外すだけで30分近く掛かったと思う。
こんなに時間が掛かると思っていなかった私は、申し訳なさで一杯だった。
なるほどこれは断られる訳だ、、、と納得した。
結局仕上がったのは1時間過ぎた位だった。
いやもっと掛かっていたかもしれない。
最後はおばさん店員も一緒に仕上げていた。

出来上がった空手衣は、私の体にぴったりだった。
店長は「いやーいい勉強になったよ」と言って笑った。
これだけ大変だったので「お金は倍払います!」と
言った私の言葉を無視して、
「僕も昔、武道をやっていたから。柔道だけどね。」
といって笑った。
私はワークマンで1時間以上かけて厳選した衣類(7000円分)を購入し、お礼を言って店をでた。
合計10,000円の出費になったけど、後悔なんて全くなかった。
それ以来、基本的に洋服や靴もワークマンを愛用させてもらっている。
意外とおしゃれなものも多くて、使いやすい。
世の中には武道をやっている・やっていたという事だけで、こんなにしてくれる人もいるのだなと思ったものです。
そんな「武」がきっかけの縁を
「武縁」
とツイッターで言っていた人がいましたが、まさにそうだなと思いました。
皆さんもワークマンちょっと覗いてみたらいかがでしょう?
