空手の型(形)って練習して意味あるの?
実際役に立つの?踊りなの?なんなの?
今日はそんな空手の型についてです。
※あくまで個人の見解です。
1.空手の型(形)って何?
空手をご存知ない方は、空手の型(形)についてなんだこれ?と思うことでしょう。
空手の型とは、
架空の相手との攻防を一人で行う稽古
の一種です。道具も使いません。
知らない人がみたら、上手いのか下手なのかもよくわからないと思います。
空中に向かって、突きを出して、蹴りを出し、最終的には大声で何か叫ぶ。
一言で言うと「何やってるの?」と思うことでしょう。
野球やゴルフで言うところの「素振り」を色んなパターンでやっているような物です。
例えば野球で素振りは、単に振ってスイングを固める人もいるでしょうけど、シチュエーション単位にちょっとずつ変えるみたいな感じです。
例えば野球に例えると以下のとおり
・1番バッター想定・・2ストライクまでは待つ
・2番バッター想定・・バント
・3番バッター想定・・ランナーを返す
・4番バッター想定・・ホームラン狙い
・基本の打ち方・・センター返し
・引っ張る打ち方・・左中間方向へ
・流し打ち・・右中間方向へ
・ノーストライク・・とりあえずタイミングを取る
・2ストライク・・微妙たまはとりあえずスイング
・1アウト3塁・・最低でも外野フライ
・8番バッター9回表2アウト・・勝ってればワザとアウトになる
・9回裏2アウトランナーなし・・何が何でも塁に出る
などなど、いろんな立場やシチュエーションによって、バッティングもちょっと変わったりすると思います。
これを順番とシチュエーションが指定されているので、それに応じた素振りをしているのが型(形)だと思ってください。
さらに言うとボクシングのシャドーボクシングってありますけど、あれの順番とやり方が決められたものに近いです。
基本的には戦うための方法を示しているものであり、全ての基本となる物です。
素振りをしないで、プロ野球選手になる人は多分いないと思います。
基本中の基本の練習だと思うのです。
2.空手の型(形)は使えない・役に立たない説
非常に重要にも関わらず「役に立たない」という人もおります。
そう言われる理由はいくつかあると思いますが、その代表例を書いてみます。
・実際に相手にパンチしたり、キックしたりしない
・よくわからない動きが頻繁に出てくる
・組手で使わない技がある
・型のみを学んでも実戦経験が養える訳ではない
一番に出てくるのは、実際に打たない(蹴らない、殴らない)のに強くなるわけがないという考え方だと思います。
殴れば殴った側が痛かったり、殴っても全然効かないとか、蹴ったらよけられて大ピンチ!とか実際に相手がいて、直接の打撃が前提に見れば、当てないことは意味がないと思うわけですね。
また想定通りに生身の人間は動かない!だから再現できるわけがない!と思うのでしょう。
特にK-1とかのキックボクシング系の格闘技を見ている人からすると、試合といえば、グローブをつけての殴り合いを想像する訳です。
それが空手のイメージなっているのだとしたら、全然違うものなので戸惑うと思います。
空手を実際にやっている人でもやはり意味がないという人はおります。
先日SNSを利用したアンケートの結果からも、実際に空手をやっている人の20%は「型は役に立たない!」という意見の結果になっています。
この20%の人たちの意見は経験者の言葉だけに、説得力は高いと思います。
3.型(形)は役立つ?役立たない?
アンケート結果からも8割の人が
「役に立つ」「ある程度役立つ」「ちょっと役立つ」
と答えているわけです。
個人的な意見ですが、私の経験からお話します。
「確実に役立つ!しかもかなり!」
と思っています。
必ず言われるのが、型は「何に対して」役立つの?という事です。
実戦?組手?それとも身体操作?精神修行?
色々とあると思います。
アンケートの際もそこは指定しませんでした。
何でも良いと思ったからです。
型も組手も所詮は空手の為の稽古の一つであり、「何に対して」を指定すると、型の意義が狭まる気がしたのです。
では、あくまで私の意見です。
一体何の役に立つのかというと、身体操作です。
例えばその一つが足さばきです。
型は攻撃・防御を指定されてそれを実際に行動するのですが、足の動き方もすべて指定されています。
で、これのおかげで体の返し方や使い方を理解できるわけです。
私の実体験ですが、
空手ですらないキックボクシングのスパーリングとかしていると体の使い方だったり、足のさばき方をほぼ習っていないのに、いきなり出来たりしたのは形のおかげと思います。
伝統派空手の組手のような一瞬で決まるポイントの取り合いではない、殴り合い、蹴り合いのキックボクシングの動きができた理由は単純に空手の型(形)なんだと思います。
他にも色々ありますが、例えば防御の時に動かす手の動かし方とかも、無駄のない動きであることが後になって分かります。
手の動きの最短ルートや足の動かし方の最短ルートが型には入っているのです。
つまり戦う事の前提となる全ての動きの見本が散りばめられているのです。
だからある型は組手においては、何の役にも立たないように思えたりもしますが、実は全然違う動き方として有益だったりするのです。
人によって使える、使えないは感じ方が違って当然だし、実際に使える人もいるし、使えない人もいるのだと思います。
あとはその人個人の気付きだと思います。
それに気が付く、気がつかないは努力かもしれないし、運かもしれないし、先生や道場の仲間の影響かもしれないし、後で分かることかもしれないし、一生わからないことかもしれません。
下手をすると実際に知らなくても良いことなのかもしれません。
ひょっとしたら、そこに気がつく人はある意味「センスがよい」といわれる人なのかもしれませんよ。
4.終わりに
型が役立つ・役に立たない議論は、結構昔からあるようです。
私のように大人から空手やキックを始めた人間は何の土台もないので、空手の型に教えられた気がします。
一方で格闘技を学んで初めて知ったのですが、
先生や師匠によってもいうことが異なるし、自分自身の使いやすい技とかも人によって結構違うものだと思います。
なので、絶対の正解なんてないのではないでしょうか。
当時プロ野球のイチローや野茂が異端扱いされたのに、結果を出したら誰も文句を言わないのと一緒で、何が正しいのかは、その人次第なのかもしれませんね。
みなさんはどう思いますか?