これから親子空手を始めようとする親御さんのご参考になればと思います。
親子で空手をする事は本当に素晴らしいと思います。
でも、失敗例もたまにはあるんですよ。
今回はそんな親子で空手をする場合の注意点についてです。
「しくじり先生」というTV番組がありましたが、あれと一緒で自分の経験を踏まえて、こうやってはダメだというのを書いてみたいと思います。
もちろん家庭や子供によって全然違うのであくまで一つの例として見てもらえたらいいなと思います。
1.親子空手と娘の空手
話はちょうど1年前です。
そして親子で空手をやって3年経ちました。
私は娘(長女)と親子で空手を始めました。
でも4年目の娘が4年生になって「娘だけ」空手をやめました。
※正確にはやめてはいないのですが、塾に行きだしたので空手には行けなくなったのです。
空手を始めるきっかけは、まぁ以下の感じでした。
振り返ってみると、娘は空手が好きだったかというと「どちらでもない」というのが正直なところだと思います。
少なくとも嫌いではなかったと思います。
元々人見知り&引っ込み思案なので、積極的に友達に絡むという訳では無いですし、違う学区の道場に通っていたので、知り合いも多くなかったのも一因ですね。
友達がいたらまた少し違ったのかもしれません。
そんな中で、私は結構一生懸命に娘に指導をしました。
上手になればきっと空手がより楽しく感じてくれると思ったからです。
道場でも空手の茶帯以上は下の子供の世話をするというか、面倒を見るように言われますから、しっかりすると思ったのです。
泣き虫で何もできなかった娘が、空手で経験を積んで初めて下の世代の子供たちから頼られたら、本人もやりがいもあるだろうし、責任感も増して一層稽古に励んでくれるのかもと思っていました。
つまり私同様に娘もきっと空手が好きで、心の底から上手になることを望んでいるのだと思っていたのです。
今はそこまで思っていなくても、いつかはそう思う日がくると思っていたのです。
親子ですからね、心は通じているものと思っていました。
これがまず大きな勘違いでした、、。涙
2.私の娘への指導
当時の私が行う娘への指導は、結構厳しかったのだと思います。
そもそも私は娘と同タイミングで空手を始めたわけですから、私も経験者でもありません。
だからこそ自分自身の練習量は、普通の社会人・サラリーマンにしては結構多かったと思います。
娘の為と思って色々な動画を研究し、ネットもよく利用しましたし、道場の先生や先輩(会社の空手部)達にしつこく聞いたり、色々教えてもらいました。
そこで得た知識や自分が得た情報量と同じ量を娘に渡そうとしたのです。
普段の道場の練習時には一切何もしませんでした。
でも自主練習の時や公園での親子の練習をしているときは叱りました。
特に声の大きさやフザけた態度、やる気のない態度や動きに対しては、結構な勢いで叱り飛ばしました。
手を上げる訳ではありませんが、大声で叱りました。
娘が泣いても叱りました。
娘はおそらく彼女なりに一生懸命やっていたのかもしれません。
でも、私はその努力が自分と比較しても全然足りない!
つまりやる気がない!!
という思考だったのですね。
ある時娘に言われました
「叱られるから、自主練習には行きたくない。」
と、、、。
その時はたまたまだろうと、そんなに深くは考えていなかったのです。
自主練習の時、一緒に練習していた他のお父さんから「厳しいね、、。」とポツリと言われたのが印象的でした。
厳しく怒鳴りつけても、子供に響かない事があります。
そもそも子供からすれば、ただ怖いだけで楽しいと思える環境ではありません。
空手道場に通っていると、もしくは大会とかでは、たまに子供を怒鳴りつけるお父さん・お母さんを見かける事があると思います。
その子供が特に気にしていないならばいいのですが、普通ならばやはり嫌なものでしょう。
でも当時の私はその体育会のノリこそが重要だと考えていたのです。
正しいことを言っているのだから、いつかは分かるだろうし、これこそが教育だと本気で思っていたのです。
社会に出たらもっと厳しいことが山ほどある。
「空手というよりも人として強くなって欲しい!」
という思いがそうさせたのです。
今は辛くとも父親として、人見知りで引っ込み思案な娘に対する空手を通じた人生の教育だと思っていたのです。
3.自分の子供(小学生)に対する指導
ある時飲み会があり、師範に言われました。
師範いわく
「親子空手の親は大体2パターン」だそうです。
パターン1 ・・・ 子供に厳しく、鍛え上げようとするタイプ
パターン2 ・・・ 子供と一緒に楽しく空手を学ぶタイプ
お酒の席でではありますが
「AさんとBさん、カラテウサギさんは厳しくするタイプだね」
「CさんとDさんは、子供と一緒に楽しむタイプ。」
恥ずかしながら「子供と一緒に楽しむ空手」という言葉にハッとさせられました。
というか、具体的にそんな言葉は空手を始めてもう数年たっていましたが、私の頭の片隅にも無かったのです。
更に「小学生なんだからできなくて当たり前。だって我々が小学生の頃とかできなかったじゃないですか。笑」と言われました。
この師範から言われた一言で自分の誤りに気がつきました。
自分がやって来た娘への指導は、自分の満足のための指導であったのではないか。
本当にやりたかった。
いや、やるべきだったのは。
「子供と一緒に笑いながら楽しくやる空手」
ではなかったのか。
いつの間にか、強さ、上手さを強要して、娘が空手を楽しむのを否定していたのは、他でもない私自身だったのではないだろうか。
思い返せば娘は、親に無理やりやらされていた訳ではなかったと思います。
学校で空手をやっているという事を話すと、興味を持ってくれる子も多かったらしく、それを嬉しそうに妻に話したそうです。
試合では結局入賞出来なかったけど、早生れ(2月)の体の小さい娘が同じ学年の男の子にもうちょっとで組手で勝ちそうだったり、色帯だったのに、黒帯の女の子と型で判定が割れていたりと、彼女なりに一生懸命やっていたのだと思います。
それを自分と同じく、いつの間にか勝ちにこだわり、強さにこだわる事こそ正義!と押し付けていたのです。
小学生なんだからまだ10年前後しか人生を過ごしていないのです。
何でも大人と同じ考えでできる子供なんてほとんどいないでしょう。
そんな強さを求める空手を好きになれる子供なんて中々いないのかもしれません。
小学生の頃、私は少年野球チームで野球をやっていました。
少年野球の監督やコーチは、地元の小学生のお父さん達です。
世代もあるのでしょうけど、子供たちをひっぱたくのは当たり前、自分の子供に対しては特に厳しく、いつもぶん殴る、蹴る、怒鳴り散らしていました。
そんな子供たちは鍛えられて、みんな野球が上手かったのです。
その残像が私の頭に残っていたのかもしれません。涙
4.娘の思いと将来?
小学4年になる前だったと思います。
ある日に娘が言ったのです。
「塾に通いたい」と。
そしていきたい私立の中学校があるのだと。
だから小学6年になる前には黒帯を取って、そしたら空手をやめると言いました。
当初空手を始めたときは黒帯まで取れると思っていなかったので、黒帯を取るまで続けたのならば、そこから先は本人の意思に任せようと思っていたのです。
なので私は、何も言いませんでした。
でもある日妻から聞きました。
塾というのは所謂「進学塾」で、相当なお金と時間が掛かることを聞きました。
娘が空手が大好きであったならば、塾に通いつつも空手もやる!と言ったでしょう。
当初はそのつもりだったのです。
ところが、所謂進学塾の春期講習に通ってその厳しさを思い知らされます。
とんでもない量の宿題と予習が課せられるのです。
そして空手の練習がある土曜日は、当然塾が5時間もあるのです。
そうなると最早空手どころではありません。
当時の私は前述したとおりに、楽しむ空手なんて全く考えにありませんでした。
とてもじゃないけど、空手と塾の両立は無理だ。
私は彼女の将来を考えるのであれば、空手の断念を決めざるを得ませんでした。
娘に夢があるのならば、応援してあげるのが親の務めだと思います。
娘は空手道二級で空手を一時中断する事になりました。
そしてこの中断というのは、言うなれば「もう戻ってこない」という事なのかも!?と正直思います。
5.一人になって分かること
今私は親子空手ではなく、私一人で道場に通っています。
親子空手をしている親子を見ると本当に羨ましく思います。
少し前までそこに居たはずの娘が空手に来ない。
情けない話ですが、とても残念で淋しく思います。
ですが、それも自分の行いのせいだと思います。
子供が行きたい中学校があって、そこを目指して勉強したいというのは、空手とは関係のない話です。
でも、もし空手が楽しくて、本当に好きであったならば、
「週に1度だけでも体力作りの為に空手は続ける!」
と言っていたと思います。
私が指導した空手では、娘がその思いに至ることはなかったのだと思います。
今にして思います。
小学生に対し多くを求めて返ってくる子供であれば、厳しさもきっと良いのでしょう。
強くなりたい!空手が大好きだ!!という子供は少なからずおります。
でも、厳しくすることで強くなるかもしれないけど、空手が楽しく感じられていないのであれば、それは誤りなのかもしれません。
好きな子はほっておいても勝手に練習して勝手に強くなります。
自分も野球を小・中・高とやりましたが、好きだったかと言われるとよくわかりません。
それと同じで少なくとも娘は、空手に対しそこまでの思いはなかったのだと思います。
でも、もっと楽しく、一緒に空手を学んで笑顔で過ごせるようであれば、きっと空手のことを心から好きだと言えたのだと思います。
6.最後に
私の場合もう時間は取り戻せません。
いつかどこかで娘が3年間学んだ空手のことを思い出してくれたらいいなと思います。
そしてできる事なら受験を終えて、大きくなった娘と一緒に「今度は笑いながら組手をしたいな」と夢を抱きつつ、私は一人でその為の準備をしたいと思います。
そういった意味でまだまだ衰えるわけには行かないのです!!
そして今は自分の子供に指導出来ない分、道場に通っている他の子供達には楽しく教えていけたらいいなと思います。
もしこれから親子で空手を始めよう!!と考えられている方がいらしゃったら、小学生のうちは、是非楽しく親子で空手を楽しんでください。
強くなる!上手くなる!のは子供が勝手にやりますから!
たまにアドバイス程度、親が楽しく空手をしている事が、子供たちにとっては一番の「教え」になるのではないでしょうか。
ちなみに今は次女(上の写真の走っている少女)に対して、何度となく空手に誘っては断られる日々です。苦笑
道具は姉のが全部揃ってますからね。
なんとか画策しております。笑
コメント
恥ずかしながら、私も同じ道を辿りました。
こういうのって体験しないと分からないんですよね。
勝ち負けに拘らない様にと師範から試合ごとに散々言われていたのですが、
強くなること、勝つことが、本人にとって一番大事だと勝手に決めつけて、空手=しんどい、にしてしまっていました。
つちの子は春に昇段審査を受け、それで一区切りと考えている様です。
大会で優勝した経験もあり勿体無いと思いますが、
私にそういった考えがあるからこそ楽しくないのかと、、、
楽しく空手している親子が羨ましいです。
やはりそうですよね。
強さこそが、上手さこそが正義!
となってしまうときっと普通の子はいやになってしまうのかもしれませんね!
優勝までしてるのならきっと楽しいと思った時期もあると思います。
言われてやるだけで優勝までできる実力がつくとは思いませんし!
いつかまた一緒にやれたら良いですね!
私もいつかまた娘とやりたいなと思っています。(笑)