世の中には不思議な力を持ったグッズが存在します。
そんな不思議な力で幸運に恵まれた人の体験談です。
冴えない高校生のAさんは、不思議なTシャツを手に入れたことにより、思いがけない幸運に恵まれて、、、。
嘘?本当?きっとアナタのハートが教えてくれます。
1.冴えない男子高校生の場合
それは20XX年の真夏でした。その日も暑い夏休みのある一日。
でも高校2年の彼にとってはなんの変哲もない、何の意味を持たない一日だった。
彼にとって全てが虚しくて、どうでもよく思えた。
その日も昼過ぎまで寝ていた。
やりたいことも見つからない、打ち込む部活もない。
でもこうして学校に行かなくても良い夏休みは彼にとって心地いいというよりは、意味もわからない焦燥感に捕らわれるものだった。
夕方近くになってフラフラと外にでかけた。
別に目的なんて何もなかったから、自転車に乗ってフラフラと走り出した。
30分くらい適当に自転車を走らせると、普段来ない街に来た。
ふと気がつくと、どこからか夏祭りの賑やかな音が聞こえてきた。
音に導かれるように彼が、向かう先には高台に神社がありその沿道には多くの人が繰り出していた。
田舎町にしては割と大規模なお祭りだなと、、と彼は思った。
自転車を道路脇に止めると、何の気なしに境内に向かって歩き始めた。
夕暮れ時の日が落ちかけている時間は夏の暑さを感じることなく、久しく忘れていた心躍るような心持ちだった。
2.突然の出会い
彼は沿道の出店を眺めながら、ゆっくりと坂道を上がっていった。
その時だった。
「アレ!?A君じゃん!?何してんの?」
ふと声を掛けられた。
驚いた彼は、声の方を振り返って更に目を見張った。
同じクラスの学園のマドンナB子が不思議そうな顔をして見ていた。
A「あ!?え!?いや、ちょっと、、、。アレ??どうして??」
彼は狼狽えながら、B子に答えようとした。
B子はクラス、いや学校の人気者で彼とは住む世界が違っていた。なので同じクラスになったからと言っても特に話をするということもなかった。
学校で見る制服姿も輝いて見えたが、浴衣姿のB子を直視することは彼にとって難しいほど輝いてみえた。
彼は思いがけないB子の登場に胸の高鳴りをどうしょうもなく感じた。
B子「A君ってこの地区の人じゃないよね?」
B子は不思議そうに彼に向かって聞いた。
A「あ、いや、ちょっと暇だったから、フラフラしてたらお祭りが見えたから、ちょっと寄ってみたんだ」
B子「へぇ。ここね。私の地元の地区なんだよ。昔からこの時期にはお祭りがあるの。恒例行事だよ」
そう言ってB子はニコリと笑った。
彼は、思わずその魅力的な笑顔に息を呑み、返す言葉が無かった。
A「で、でもよく僕ってわかったね。こんなにたくさん人がいるのに」
そう言うとB子はケラケラと笑いながら、彼の胸元を指さした。
彼は指さされた胸元を見て思わず絶句した。
3.幸運のウサギのTシャツ
胸元にはTシャツのうさぎのイラストが書かれていた。
うさぎと言っても、有名なキャラクターでもなく、形もデフォルメされたような奇妙なうさぎのイラストだった。
A「ち、違うんだよこれ!!あ、これは、姉がね、、、」
彼は赤面しながら、狼狽した。
B子「か、かわいいじゃん。それ!あははは」
B子はその慌てた姿がツボだったらしく、ケタケタと笑いながら下を向いてしまった。
彼は、そのTシャツを着ていることをとても恥ずかしく思えてきた。
このTシャツは東京の美術大学に通う姉が、夏休みで帰ってきた際にお土産として渡されたものだ。
最初はそのデザインに「何だよこれ?」と文句を言ったが、姉は真剣な顔をして「幸運のTシャツ手に入れたからアンタにあげる。感謝しなよ」といった。
夏休み誰にも合わないと油断して部屋着にしていたことをすっかり忘れていたのだ。
彼は、姉の東京土産で幸運のTシャツだという事をB子に伝えた。
B子「え?お姉さん、東京の美術大学に通ってるんだ!?すごい!!」
キラキラとした顔を、Aに向けて大げさに驚いているように見えた。
A「ああ、いや、凄いかどうかは、、、」
彼がそうボソッと言いかけた。
B子「私ね。将来の夢はデザイナー!だから高校出たら東京の美大でデザインを勉強したいの!だから、本物の美大生なんて憧れちゃうな」
彼女はそう言ってから笑顔でAにこういった。
B子「ねぇ、初めてこのお祭りきたんでしょ。案内してあげる。このあと花火も上がるんだよ!」
そういうと、B子はAの手を強引に掴んで境内の上に誘った。
Aは呆気にとられながらも、胸の高鳴りが抑えられなかった。
4.花火
相手は学校のマドンナ。
美人で優しくて、気さくで、勉強もできて、スポーツも万能。皆のあこがれの的。
Aにとって当然高嶺の花であり、会話することどころか、こうして一緒に歩くことなんて想像にすら及ばなかった。
彼女は「高台の境内の広場から花火がよく見えるから」
そう言ってAを引っ張っていった。
階段を上がりながら、彼女と色んな話をした。
夕暮れ時の空は高く、夏の暑さは和らいで、涼しささえ感じる風に乗って、彼女の甘い切ない香りが漂った。
Aは、彼女といつの間にか何も気兼ねなく話をしていた。
ひょろっと高い背の彼は、同じくスラッとしたB子と一緒に歩くとお似合いのカップルにも見えた。
境内の横をすり抜けて、裏手に回ると広場があった。
小高い境内の裏手とは思えないほど広々していた。
A「すごい。こんな広い場所があるんだね」
B子「凄いでしょ。ここからなら花火も見えるし、街の夜景も見れるんだよ。私のお気に入りの場所!」
A「あの、どうして?ここに連れてきてくれたの?というか、俺なんかと一緒に居ていいの?誰かと一緒に居たんじゃないの?」
彼はずっと疑問に思っていたことを、そう言ってB子に聞いた。
B子は少し困った顔をしてから
B子「うーん、私が一人で居ちゃだめ?」
A「いや、そういうわけじゃないけど、キミは人気者だから、一人でいるってちょっと不思議でさ、、。」
B子はAの口元に人差し指をアテて、上目遣いに睨んだ。
B子「ある少女は、とても可愛くて、優しくて、勉強できて、スポーツできて。クラスの人気者!」
A「・・・。」
B子「でも、実態は実は面倒くさがりで、オッチョコチョイで、勉強嫌いで、スポーツよりも本当はマンガが好きで、本当はオタクで、家でアニメ見ている時が一番幸せ!」
A「え?な、何のこと?」
B子「さて問題!私はどっちでしょう?」
B子は、そう言うとAをキッと睨みつけてから笑った。
彼女の真後ろに、パッと大きな光の花が咲いた。
ドーン!
と大きな音が遅れて聞こえた。
花火の光に映し出された彼女の顔はとてもキレイで、Aは思わず目を見張って口にした。
A「綺麗だ、、、。」
B子はパッと振り返って花火を見ると、
B子「本当だね!綺麗だね!」
と言ってから、近くのベンチに腰掛けながら、ベンチの隣を指さした。
B子「私は地元だし、今日頑張る気ないから。一緒に花火見ない?」
そう言ってまた笑った。
5.夏の終りに
夏休みのある日、彼は姉に聞いた。
A「あのさ?あのうさぎのTシャツって、なんで幸運を呼ぶTシャツなの?」
姉「ああ、アレね。結構一部で有名なんだよね。幸運を呼ぶってね。でも直接的なモノじゃないらしいよ」
A「あ、あのさ、美大って楽しいの?」
姉「は?楽しいに決まってるじゃん。変な人も多いけどね。何?興味あるの?」
A「い、いや、、、友達が、、、ちょっとね、、。」
姉「ふーん、、。」
姉「じゃあ、可愛い弟に教えてあげよう!何が聞きたい?」
A「あ、いや、何っていうか、、。」
姉「じゃあ、連れてきなよ。その友達!アタシが東京と美大について教えてあげる!」
そう言うと、姉は何かを察したかのようにニヤリと笑った。
こうしてAは初めて、東京とデザインというものに興味を持つことになった。
その10年後新鋭のデザイナーとして世界的な評価を得ることになるのだが、それはまだ少し先の話である。
第日本経済新聞 8/13 朝刊
日本を代表するスーパーデザイナー兼株式会社「デザインARIMA」CEO
サブロー アリマ 「アナタの履歴書」コーナー から抜粋
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