武道・格闘技をやっていて、たまに面白い話や良い話を聞けたりします。
また武道や格闘技をやっていたからこそ起こり得る体験なんてのも世の中にはあるのです。
空手や格闘技に関する私が過去に聞いたり・経験・体験した
「ちょっといい話」シリーズです。
1.バイト先に現れるイライラおじさん
私が通うジムでよく会うAさんの妹さんの話です。
妹さんは現在大学生で駅前のカフェで高校生の頃からバイトしているそうです。
4年ほど前の話、まだ妹さんが高校生だった時の話です。
一杯200円ほどのコーヒーショップで、朝、夕問わず賑わっていたそうです。
そこで有名なイライラおじさんというおじさんが定期的に客としてきていたそうです。
そのあだ名の通り、いつもイライラしていて高圧的、時には店員さんにクレーマーのような対応で彼のせいでバイトを辞める人もいたくらいだったそうです。
なので基本的には彼が来たら、社員かベテランのバイトが対応することになっており、基本的にはアンタッチャブルな存在だったそうです。
毎回のようにトラブルを起こすので当然店側も出入り禁止を、何度となく通告するのですが、おじさんは「この店は差別するのか!?」店の中で怒鳴り散らし、大騒ぎし警察を呼ぶ・呼ばないの騒ぎになったこともあったそうです。
店側の我慢も限界では有るものの、顧客対応をできない店長という印象を恐れた当時の店長は穏便に済まそうとしていたのですが、それがより一層イライラおじさんを増長させる結果になったようです。
2.イライラおじさん来訪!妹さん大ピンチ!
ある日、バイトを始めたての妹さんが夜の7時頃、カウンターにいた時にイライラおじさんがやってきたそうです。
いつものように明らかにイライラしており、妹さんの顔を見るなり「いつもの。はやくしろ!」とにらみつけるように言ったそうです。
妹さんは実はイライラおじさんの存在は知っていたそうですが、まだ実際に接客をしたことはなく「いつもの」が何を指すのかわからなかったそうです。
慌てて社員、ベテランバイトを探すものの、たまたまそこにおらず、焦った妹さんは恐る恐る聞いたそうです。
妹「あの、、すみません。いつものって何ですか?」
おじさん「あぁ!?いつものっつったらいつものだろうが!!バカが!早くしろ!」
妹「申し訳ありません。いつものはコーヒーでよろしいでしょうか?」
おじさん「おいこら!ガキ!お前何ってんだ!?いいかげんにしろ!!」
おじさんは早速怒鳴り始めました。
妹「すみません。私、まだよく分からないもので、、。」
妹さんは怯えながら、小さな声で言ったそうです。
おじさん「知るかこら!?てめぇ!舐めてんのか!俺を舐めてんのか!?」
騒ぎを聞きつけた、社員やベテランバイトが慌ててやってきます。
社員が言います。
社員「お客様他のお客様にご迷惑です。何卒お静かに!」
おじさん「ふざけんじゃね!こら!お前らが悪いんだろうが!」
顔を真っ赤にしておじさんは怒鳴り散らします。
これ以上の騒ぎはまずいと感じた社員は焦って言います。
社員「まだ不慣れなもので、大変失礼しました。しっかり教育しますので!」
おじさん「じゃあ、土下座しろ!!お前ら全員土下座しろ!!」
なんと、妹さんを含む従業員に土下座を求めたのです。
妹さんは泣きそうな顔をしながらただ立っていたそうです。
シーンとした気まずい雰囲気が漂い、店の雰囲気は最悪です。
近くの席にいた主婦や子供を連れた母親は、席を立ちお店を後にしています。
3.先生登場!!
「あの、コーヒー1つください。ホットで!」
急に静寂の中、妙に明るい声が聞こえました。
そこには、ヒョロっとしたスーツ姿の30歳くらいの男性がにこやかに立っていました。
イライラおじさんを含め、皆がぎょっとしてその青年を見ます。
妹さんがつぶやきます。
妹「あ、、先生、、。」
そこにいる一同、この場違いな雰囲気の中、ニコニコしている青年が妹さんの知り合いであること、先生であることを察しました。
おじさんは、先生という言葉を聞いて、急に男性に怒鳴り始めました!
おじさん「おい!お前教師か!?こんな仕事もできない生徒を教育しているとは、教師ってのは随分楽な仕事だな!」
ニコニコしながら先生は答えます。
先生「ああ、はぁ、いや、、、。」
そう言って、ニコニコしてます。
おじさん「きさまぁ!何だその態度は!!それで教師とかどんな頭の悪い学校だ!?だからこんなアホみたいな生徒しかいないんだな。どうせろくな学校じゃないのだろう!」
先生「ええっと、、はぁ、、んー??」
先生は、ニコニコしながらよく分からない返答をします。
おじさんはこの先生の態度に更に腹を立てて、掴みかからん勢いで先生に怒鳴り散らします。
おじさん「貴様ら教師は、公務員だろう!ふざけるな!俺たちの税金で飯食ってんだろうが!こんなカスしか育てられないなら教師なんてやめちまえ!」
先生「ええぇ。そう言われても、、、。」
相変わらずニコニコしています。
それがおじさんをバカにしたように見えたのでしょうか。
おじさん「お前ぶん殴るぞ!!ふざけるな!ガキが!」
イライラおじさんの怒りはピークに達しました。
4.先生の正体
社員さんが慌てて間に入ろうとした時に、先生の声が急に変わりました。
先生「おい、おっさん。なんか勘違いしてねーか?大体誰だよ。おまえ?あ、俺にケンカ売ってんのか?」
おじさん「何だと貴様!?教師なそんな口聞いていいのか?公務員だろうが!こっちは出るとこ出ても構わんぞ!教育委員会に訴えてやるぞ!お前の人生終わらせてやるぞ!」
先生は冷たい目でおじさんを見ながら続けます。
先生「俺は先生つっても、教師じゃねえぞ。」
おじさんは一瞬ぽかんとしてから、妹さんを見ながら
おじさん「さっきコイツが先生と言ったろうが!嘘は通じんぞ!」
先生「先生つっても空手のな!空手の先生やってるだけで、勉強は教えてねぇよ。ましてや教師でもねぇ!」
先生はそう言うとイライラおじさんに向かって鋭い眼光を向けます。
先生「お前、空手家である俺に喧嘩を売ったな。社会人としてケンカなんてクソだと思うが、空手家として売られたケンカは必ず買う!!」
おじさん「お、おい、何いってんだ!?訴えるぞ!」
先生「どこに!?誰が?何を訴えるって?喧嘩を売ったのはお前だろ!今更逃げるな」
先生は低い声で、おじさんに言い放ちます。
おじさん「いや、ちょ、、教師って言うから、、。」
先生「うるせーバカヤロウ。馬鹿だアホだと言ったのはお前だろうが!」
おじさん「いや、そうは、、、」
おじさんが何かを言いかけた時に、先生は遮って言います。
先生「さっさとやろうぜ。俺も久々に思い切りぶん殴れるかと思うとワクワクすんぜ」
先生はそう言いながら、瞳孔を開いた目でオジサンを睨みつけます。
先生はそう言うと、顔をおじさんの顔の前に近づけて目線を外さずにゆっくりと顔を動かしつつ、半笑いの表情で小さく呼吸をしています。
明らかに感情をコントロールできていないような、危険な雰囲気満載でした。
「この年で空手やってるやつなんて、大半が人ぶん殴って気持ちいい!!って言ってるやつしかいねーんだからさ。今更逃げんなよ」
そう言うとニタリと笑って言います。
そして小刻みに体を動かします。
おじさんは先程までの勢いは完全に失って、真っ青な顔をしています。
おじさん「あ、、いや、、その、、、。」
小さな事で何か言っていますが、先生の迫力に圧倒されて、言葉がでてきません。
そこで社員がふと我に戻り、震える声でおじさんと先生に向かって、
社員「す、すみません。ほ、他のお客様に、、、。」
というのを聞いて、
先生「ああ、すみません。すぐに出ていきますね。」
普通の調子で、ニッコリと笑うと。
おじさんに向き直り
先生「おい!お前!俺はこの子と3分話しをしてから行く、お前先に表で待ってろ!!さっさと出てろ!!」
と怒鳴ると、妹さんのところにゆっくりと歩み寄りました。
おじさんは一目散に外に逃げ出すとそのままどこかに走り去っていきました。
先生は妹さんと社員に対してペコリと頭を下げると
先生「いや、お騒がせして申し訳ありません。ああいう、アホはこれくらい言わないと分からんでしょ。」
とにこやかに言ったのです。
誰もが先生が「まとも」であったことに安堵し、拍手したい気分だったそうです。
5.その後のお話
実はAさんも妹さんもとあるフルコン空手の道場に子供の頃から通っていたそうです。
先生はそもそもコーヒー自体、飲めないので、コーヒーショップに入ること自体初めてだったそうです。
でも、何か騒がしいのに気が付き、見ると妹さんが居たので入ってみたというのが実際のところだったそうです。
その一件以来、イライラおじさんは一切姿を見せる事は無くなったそうです。
少なくとも妹さんがバイトにいるうちは姿を見せないだろうと言われているそうです。
先生は今でもたまに店の前を通りかかると、妹さんに手を振ってくれるそうです。
でもコーヒーを飲めない先生は一切カフェに入る事はその後も無いそうです。
ちなみに妹さんも先生の芝居があまりにも出来すぎていて、本当に芝居だったのかわからないと言っているそうです。
本性がこっちなのかも!?と笑いながら話しているそうです。
いろんな先生がいるのと同時に、色んなしょうもない大人もいる訳ですね。
聞いたお話でちょっとスカッとする話でしたので、少々書いてみました。
皆さんの周りにも結構面白い「先生」居たりしませんか?
※諸々の事情で私が脚色してますので、ご理解くださいませ!
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