親子空手を始めると、普通はその子供は上手になることが多いです。
何故かと言うと単純に親が割と熱心にやるので、
「ああしろ!こうしろ!」と口を出すのですね。
子供は特に疑問を持たずに練習をするわけですから、ある程度上手になるのです。
そんな私の場合ですが、親子空手の
「やってはいけない事」、「やってあげたい事」
を少し書きたいと思います。
1. 親子空手と子供の上達について
そもそも親子空手のきっかけはこちらです。
基本的に週一回の空手教室です。
はっきり言って週一回の練習「だけ」ではそれほど上手くなりません。
でも私の通う道場では半年に一度ある昇級試験はほとんど落ちる事はありません。
伝統派の道場ですが、昇段試験の時に落ちる事はあってもそれ以外はほとんど落ちません。
という事は、無級から始まり9~1級までは、小学1年生から始めても、4年生5年生になる頃にはどんなに遅くとも3級の茶帯にはほとんどの子供が到達します。
これは割と伝統派空手では一般的な事のようです。
この落ちないシステムについて、正直私は微妙に思いますが、、。
でも、いつまでも昇級しないとやめてしまう子供も多いそうです。
周りを見ていても親子空手の場合、飛び級をしたりする事が結構多いので、総じて普通に通っている子供に比べて昇級するスピードは早いと思います。
そもそも週に一度だけ空手教室の時間だけで型(形)を覚えるのもなかなか大変だと思います。
さて、私の場合、娘と一緒に空手を始めて5年が経ちました。
私は黒帯を取得し、娘も茶帯になりました。
親である私が未経験者だったにも関わらず、昇級は多少は早い方だと思います。
体験的にも多少は早く上手になったと言えると思います。
2.親子空手の良いところ・メリット
さて、親子空手の良いところは親が一緒に空手をやるので
「身を持って教えることができる」
という事ですね。
子供に空手を習わせて親は見学している人も多くいるし、実際にアドバイスとかもしている姿を見かけますが、細かいところはやはり自分が体験しないと分からない事が多いのです。
実際にやらない経験者でもないお父さんやお母さんでも、よく練習とか見ている親御さんのアドバイスは鋭いものがあったりもします。
ですが、総じて言えばやはり経験した方がわかりやすいと思います。
親子空手の生徒と子供のみの生徒で、
一番顕著に差が出るのは、型(形)の時ですね。
多分なのですが、理由がちゃんとあります。
大人である私たちは形の順番を
頭で覚えて、合っているのかどうかを確認
しながら型を打ちます。
でも子供達は先生に言われたまんまを「とり合えずやってみる」という感じで
感覚で覚えていきます。
この二つを比べると確実に前者の
頭で覚える方が上手になるの早いです。
さらに大人の私場合、
これまでの人生を通して
しっかりと憶えないとダメだ!
と身にしみているからでしょう。
社会人になると、土日に昼まで寝ているのがなくなるのと一緒です。
記憶力は絶対子供たちの方が上のはずですからね。
そして大人は道具や機会を使います!
動画を見たり先生に質問したりして理解を進めるからです。
子供たちは何のために?というのを言われない限りはわからないし、特に質問するということもありません。
大人は大概なんとか憶えようと必死になりますが、子供はなかなかそうは思いません。
でもこれが普通です!!
恐らく大人たちはどこかで
「負けられない!子供にかっこ悪いところは見せたくない!」
と思っているからでしょう。笑
そして鏡を見ながらとか動画を撮ってとか色々と工夫次第でいくらでも練習できるのが型(形)だからです。
そんな風に子供よりもはるかに上手になった親は子供にもその技を伝授します。
一人の先生が大勢見る空手教室ではなく、
親がマンツーマンで指導できる
のが大きなメリットです。
型だけではなく、組手や技の数々も親と一緒にやると子供は上手になります。
同じ理由だと思います。
3.親子空手の失敗
さて、そんなうちの子供も4年間私と一緒に空手を学びまして、自主練習の場所まで借りることができて、娘はさぞ強いのだろうと思いきや、
全くそんなことはありません!
私が大会に出ても全然勝てないので、子供の事だけは言えませんが、、。(笑)
最初の頃は私も娘が上手にできないのを知って一生懸命教えました。
そして「ふざけた態度」や「やる気のない態度」取る娘を大声で叱りました。
娘が泣こうと関係なしに怒鳴りました。
それが彼女のためになると思ったからです。
でもある日彼女は私にこう言いました。
「空手の自主練習には行きたくない」と。
何故かと聞いてみたら、案の定というか父親である私に叱られるから、それが嫌だと言うのですね。
私は「出来ない事や失敗したことで怒ったりはしない。
やる気がない態度やふざけた態度の時だけ叱る!」
と説明したのですが、どうやら彼女自身は特にやる気がない態度やふざけた態度をとったつもりは無いらしいです。
私から見るとそういう態度に見えるのですが、彼女はそうは思っていなかったようです。
よくよく考えてみると、
一生懸命に何かを教えるのは子供のためであって、何故それを理解してくれないのか?と思っていたのですが、
子供から見ると空手をやっている
父親は単に「怖い」存在でしかなく、とても空手を楽しめる環境になかった
ようです。
普段の道場の練習は、私は私のことでいっぱいで、とても娘のことを見ている余裕などありません。
だから自主練の時に改めて娘を見ると何故こんなにできていないのか?と思ってしまうわけですね。
そんな娘の思いは露知らず、
「一刻も早く上手くなりたい」という思いは私と一緒
だと勝手に誤解していた私は、
大きな勘違いをしていたようです。
自主練習にやって来る小学生たちは、向上心が強く私が、ミット持ってあげたり、こうだと教えると素直に聞いてくれたりして、これが普通だと思っていたのです。
強くなりたいと思うのが当たり前だと思っていたのですね。
でも娘は少々違ったようです。
そこで一度娘と話をしました。何が嫌だったのか?
・準備運動 ・・・・声が小さいと怒鳴られるの嫌だった。
・基本練習(突き・蹴り・移動など)・・・すぐに注意されるから嫌だった。
・形(型) ・・・・一度に覚えられないのに全部やらされるのが嫌だった。
・組手 ・・・・大人と組手するのは怖いから嫌だった。
・ミット打ち ・・・手や足が痛くなるから嫌だった。
・その他 ・・・・他の子にはちゃんと教えるのに、自分には怒ってばっかりが嫌。
要するに全部です。
自主練習時の練習メニューは全て嫌だったそうです。
これは大いに反省しました。
どうやら私が望む空手家への道と彼女の道は全く別ものだったのだと思い知ったのです。
私がこのまま突き進んでいたらば娘は空手を好きになれず、早晩やめていたと思います。
子供に自分の空手を押し付けていたのだと思います。
小学生の時に無理に筋トレをさせる必要はないと思ってますが、普段目一杯グランドとかで鬼ごっことかサッカーをやったりと遊んでいればそれで十分だと思います。
筋力の付けすぎは成長を妨げるとという説もありますが、人による気がします。
でも私も含め割と中学生くらいに筋肉質だった人たちは総じて背があまり伸びずにスポーツの面でも成長があまりしなかったような気がします。
逆に高校で劇的に身長が伸びた人もいますので、当然人によるとしか言いようがないですが、、、。
ただ自分が筋肉のつけすぎた事で背が伸びなかった気もしますし、体操選手とかが総じて背が高くないのも事実ですね。
その人にはその人なりの成長や歩む道があるのですね。
よほど空手が好きだ!!
という子供ならば全然問題ないですが、そうでもないなら子供(小学生)にやってはいけないと思うのは、
空手が嫌いになるような厳しい練習、
筋肉に物を言わせる練習は避けたいなと思います。
子供の頃、苦手な給食を無理やり食べさせられた思い出は、消えません。
あれは体罰と一緒だと思います。
大人になって〇〇が食べれないとか好きじゃないとかいろいろ聞きます。
取引先の役員が鶏肉食べられないとか普通にあります。
人は人!自分は自分!!
子供あって色々あるんです!
例えば・・・
・四股立ちを何分にもわたって、倒れそうになるまでやらせる
・大会前でもなのに、ひたすら型ばかりを強制的に憶えさせる
・ちょっとでも笑ったら怒鳴り散らす
・やたらと腕立て・腹筋ばかりを小中学生にやらせる
要するに、やってはいけない練習というよりはやるべき練習として、
空手が楽しいな!
と思える練習をやってあげる事が小学生には大事なのじゃないでしょうか。
4.楽しく練習する方法
そこから考えをガラリと変えました。
とにかく練習は楽しくやろう。
下手でもいいし、空手の練習になっていなくてもいい。
「空手の自主練習は楽しい!」と思って貰うことを第一に考えるようにしたのです。
とはいえ、空手の練習で楽しくと言われても、会社の空手部の練習も充実感はありますが、そんなに楽しい訳でもないですし、何がいいのかと考えました。
楽しそうだなと思う事で且つ空手に役立ちそうな事と私も子供も楽しくやれる練習を考えたのです。
どのみち空手の普段練習をやったところで、「すげー楽しい」という訳ではないので、普通の練習プラス楽しい練習を組み合わせる事にしました。
半分は遊びですが、まぁ、練習だからと割り切りました。
例えば以下のような感じです。
①ステップの練習(至近距離鬼ごっこ)
・・・ 基本的にステップは移動です。
剣道のすり足じゃないですが、上下動を少なく移動させるわけです。
特に空手の場合は踏み込みが重要なわけですから、これらを意識してもらう事を考えたのです。
で、何をしたかというと、超至近距離鬼ごっこです。
鬼は基本私です。
子供たちは私から逃げるのですが、その逃げられる範囲が超狭いのです。
それこそ畳2畳程度ですかね。でも私はまっすぐしか進みません。
せいぜい手を広げるぐらい。
これをかわすには、横の移動をしなくては間に合いません。
いちいち振り返ってから逃げては間に合わないのです。
そして野球のリードのように体制を低くし、すぐに右か左に移動できるように集中するのですね。
私は非常に疲れますが、子供たちは結構はしゃいで逃げ回ります。
終わったあとに種明かしじゃないですが、素早く移動できる理由と空手に置き換えた場合の見本を見せて終了です。
私は汗だくです。苦笑
②反射神経・視野を広げる練習(円を作ってボール回し)
これはキックのジムでたまにやる反応を良くする練習ですね。
学校の体育館にあるようなボール(私はキックミット)を一つ持って、子供たちに円を作らせます。
ボールを一つパスしまくるというシンプルなゲームです。
ポイントは意表を突くこと。
ノールックでパスしたり右を見ながら左に投げたりと子供たち同士に意表を突く事と視野を広く見ることを説明します。
慣れてきたらボールを2個入れると効果的です。
③コンビネーション(超褒めるミット打ち)
コンビネーションにはミット打ちが一番簡単にやれますが、ポイントはこうしろとかは言わずに単に褒めくるミット打ちです。
2分間ミットを打たせるのですが、ひたすら褒めます。
今の突きはいいだの、ケリは最高だのとひたすら褒めるのです。
ポイントはほかの子供がやっているのを良く見てもらうこと。
あの子のココはうまいとかを感じて欲しいのですが、褒めまくる事でよし自分もと思ってもらえれば良いのです。
実際の技の完成度はあまり気にしません。
自信を持ってもらいたいですね。
④技のキレと反射神経(ふわふわボールを打ち返す)
ほとんどゲームです。
空手なのかはさておき、ボールを山なりで投げるので、それを突きか蹴りで返させます。
ポイントは突きとか蹴りは私が指示を出すわけです。
咄嗟に突きとか蹴りとか言うと大概上手く打てませんが、早く打つぞという意識をさせることで、面白いことに集中してくれると結構打ち返してきます。
これは要するに体の使い方ですね。
突きを出すにはその突きの準備。
ケリを出すにはケリの準備をしておく事が非常に重要だと分かると変わるのはボールを待っている間の構えです。
実際の組手の構えに近い状態になる事とすぐに動けるような姿勢の重要さがわかります。
常に前重心、後ろ重心にならずニュートラル状態に居ることが重要です。
⑤防御(ふわふわのボールを防御する)
これまたゲームですね。
ふわふわのボールなので思いっきり投げても割と痛くありません。
これを顔めがけて大人が投げます。
これを手のひらで落とします。
ボクシングで言うところの「パーリング」という防御技ですね。
落とすだけでいいのです。
弾くわけでもガードする訳でもありません。
それと単純に避ける事を混ぜます。
これはボクシングで言うところのパーリングやヘッドスリップ等を使ってボールを避けます。
ポイントは要するに相手の突きが来た時の防御方法ですね。
空手でパーリングはあまり使わないかもしれませんが、突きはガッチリよけなくても当たらない事の重要性を学んで欲しいのと、スピードに慣れて欲しいという為の練習です。
ちなみにこの練習は非常に単純ですが、盛り上がります。
私は100円ショップに売っている柔らかいボールを持って行って使っています。
思いっきりくらっても殆ど痛みはありません。
手のひら一本でよけられる事を覚えて欲しいですね。
5.まとめ
という感じで、殆ど遊びとかゲームのような練習をするのですが、
私の中で決めていることは一つだけあって、
この練習の意味を理解して欲しい
ということです。
この動きは何のため?
というのを意識して欲しいのです。
このゲームを利用すると空手ではこうなるとかを教えてあげ、それを踏まえてミットや組手をするのです。
単なるゲームだけだったら、もはや練習ではないので、そこは気にしてます。
ゲーム感覚で普段と違う練習をするので、結構みんなちゃんと練習をします。
純粋に空手の普段の練習をやりたい人はやればいいし、普段とは違った練習もきっと役に立つと思います。
意外とツイッターやブログとか見てるといろんな練習をしている動画や画像があるので参考にしてみはいかがでしょうか。
最近自主練に行くと娘は楽しそうに練習?をするようになって、以前のように嫌だとは言わなくなりました。
無理強いをしてもダメなのですね。
反省です。
こうやって親子ともに成長していくのが親子空手なのです!!
※本記事は、2019年12月に記事内容を一部修正して再投稿しております。