意外かもしれませんが、パンチやキックって当たらないのです。
不思議ですが、本当にそうだと思います。
今回はそんな当たらない攻撃についてです。
1.当たらない攻撃について
スパーリングをやった事のある方なら思い当たるのではないでしょうか?
超至近距離、相手のガードが落ちてる!顔面がら空き!!
から思い切り打つ渾身のパンチが当たらない!?
相手がモンスター井上尚弥でもなんでもない、普通のアマチュア選手でも当たらないのです。
そしてこれがガチスパーになればなるほど当たらないのです。
おそらくなのですが、当たらない攻撃というのは、ある程度訓練されているアマチュア選手でなく、格闘技未経験の素人であっても同様な気がします。
ピストルの話を知っていますか?
NY市警の命中率の調査結果だそうです。
距離25m~:4%
25~15m:8%
15~7m:9%
7~2m:17%
2m以内:38%
たったの2mなんて百発百中じゃないか!?と思いきや、わずか38%だそうです。
また状況的に相手が打ち返してくる場合、命中率は非常に低くなるそうです。
ピストルでさえこの状況ですので、人間のパンチがなかなか当たらないというのは、なんとなくわかる気がしませんか?
2.当たらない攻撃の理由
当たらない攻撃にはその理由があると思います。
ではその理由とは何でしょうか?
2−1.相手が動いているから
もっとも簡単な理由だと思います。
相手の今いる位置にパンチを放っても、相手が動くのでパンチが当たらないのです。
これは相手選手が避けたというよりも、無意識な動きや通常の移動だとかが影響して当たらないという事になるのです。
移動スピードも想定と違えば攻撃は当たりません。
ちなみにサンドバッグとかでも、動いている状態で捉えるのは少し難しくなります。
相手の行動を先読みしたり、タイミングを合わせる必要があるのですね。
2−2.攻撃のタイミングがズレるから
ミット打ちという練習があります。
これはミットの受け手の指示で指定されたパンチやキックを出していくものです。
この練習の攻撃はほぼ100%近く当たるのです。
何故当たるのかといえば、理由があって受けてが攻撃に合わせてポンとパンチやキックを受けてくれる。
つまりタイミングを合わせてくれるからです。
ミット持ちのうまい人は、このタイミングが上手だったり、受け方が上手だったりします。
そしてたまにタイミングが合わないと、攻撃は外れます。
相手はわざわざタイミングを合わせて打たせてくれる訳じゃないので、攻撃が当たらないという事になります。
2−3.距離がわかっていないから
経験不足という側面もありますが、距離がわかっていないというのも大きな理由です。
自分の腕の長さ、足の長さが自分の射程距離ですが、そもそも立つ位置が遠ければ届きませんし、近ければ不発に終わります。
普段の練習で散々やっているはずの攻撃パンチやキックは、サンドバッグやミットで練習しているにも関わらず、対人ですとその距離感がちょっと違うのですが、そこを修正する経験がまだ少ないということでしょうね。
2−4.相手の反撃のプレッシャー
相手選手はただ殴らせてくれる訳ではありません。
当然ながら反撃してきます。
こちらの攻撃と相手の攻撃が同時に起こったりする訳です。
下手をするとカウンター攻撃を貰う可能性も高まります。
ピストルの話と似ていますが、相手が反撃してくる場合は、極端に命中率が下がるのと同様で、そのプレッシャーにも打ち勝たなくてはいけません。
知らない間に手が伸びていなかったり、キックのタイミングがずれていたなんて事も起こりえるのです。
3.攻撃を当てるためのポイント
攻撃を確実に当てるためのポイントとは何でしょう?
3−1.相手の動きを予測して打つ
相手の何気ない動きを読み取って、攻撃を打ちます。
例えばですが、右ストレートを打つ人がかならず一旦下に沈むような動きがある選手だとします。
ほんの小さなポイントですが、その一瞬沈み込むところに対してパンチを打ち込むのです。
相手の動きはコンマ何秒で全く別の位置にいると考えるべきでしょう。
ほんの数センチ、いや数ミリかもしれませんが、右に向けて打ち込むとか、ほんの少しの予測が確実に相手を捉えるためのポイントになるのです。
3−2.絶対に当たる場所を打つ
単純な話です。
絶対に当たる場所を打ちましょう。
実は顔は的が小さいので攻撃が当てにくいものです。
なので当てやすい場所に攻撃を打ち込むのですね。
それがボディーであったり、足であったりするのです。
当てやすい場所を徹底的に攻撃するのも一つのやり方です。
そうすることでスキや油断が生まれ、顔へのパンチが入るのです。
3−3.無理やり当たる状態を作り出す
当たらない攻撃を当てるためには、工夫が必要です。
その一つの方法が無理やり当たる状況を作るということです。
例えば相手を押し込んで動けなくしてからパンチをするとか。
防御されるのがわかっているのに、あえてパンチを出してわざと体勢を崩すように押し込むという感じですね。
あとは上下の打ち分けで攻撃確率をアップさせられます。
3−4.攻撃は小さく力まず打つ
慣れてくると分かるのですが、パンチは思い切り打っても、普通に打ってもあまり威力は変わりません。
そして中々当たらないので、思い切り打つパンチは所謂フィニッシュブローという最後に倒しに行くパンチだと思います。
なので普段から攻撃は小さく(スキなく)軽く打つというのが、重要だと思います。
強弱を入れたりすることで、相手に油断させないということで相手の精神力を削っていきます。
もっとも重要なポイントは、
軽くても当てられると嫌だ!
という点ですね。
ジャブだとかインローだとか、KOできる攻撃ではないのですが、これを貰うのは実はかなり嫌なんですね。
3−5.フェイントを徹底的に使う
普通にやっても当たらないのは、自分で体験してみるとよくわかります。
相手にはスキに攻撃してもらい、自分は防御だけで2分とかやってみるとある一定のレベル以上の防御力があれば、結構普通に避けられます。
攻撃しないで避けるだけであれば、かなり防御できるものなのです。
という事は、普通にこちらの攻撃も避けられてしまいます。
なので、いろんなフェイントを使って「当てる」事を重要視する必要があるのです。
3−6.根気よく攻撃を繰り出す
そうはいっても攻撃は出さなければ、当たりません。
当たらなければ勝てません。
とにかく攻撃することは重要です。
外れてもガード・ブロックされてもいいから打ち続ける事は重要です。
強いパンチならばそれだけでプレッシャーを与えられますし、中々当たらないのとは逆の意味で、まぐれで当たることも結構ありますからね!
3−7.攻撃に強弱をつける
とあるプロボクサーが言っていましたが、遅いパンチの方が貰ってしまう事があるようです。
普段から高いレベルで練習しているからこそ、急に遅いパンチが来ると貰ってしまうという現象ですね。
よくプロ野球選手とかが、遅いボールを空振ってしまうのと似た状況ですね。
その違和感を作り出すのが、強弱や早い遅いの攻撃のバリエーションですね。
全てが早ければ良い訳ではないのですが、トリッキーな動きを常日頃からやっているとやはり厄介なものです。
4.終わりに
本日は当たらない攻撃について書いてみました。
当てようとすればするほど攻撃は小さく軽くなる一方で、無駄な動作や予備動作を極力無くす事は重要だと思います。
よくパンチは槍のように打てと言われることがあります。
そもそも槍自体をあまり見たことがないので、想像なのですがおそらくイメージ的には魚を捕まえるための「モリ」のイメージだと思います。
ノーモーションというか、0から100にパワーを伝えるこの動きは予備動作なく、攻撃を出せてかつ効果も大きいと思います。
当たらないからこそ、工夫や自分なりの「当て感」を大事に息することが重要なんではないかと思います。
皆さんはどんな工夫をしていますか?
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